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2014年3月5日水曜日

交通事故と疾患

私たちの生活中ではさまざまな交通事故が起こっている。
居眠り運転だったり飲酒運転だったりわき見運転だったり、原因はさまざまなわけだが、今最も騒がれている事故は宮城交通バス追突事故だろう。
今回注目するのはこのバス事故についてである。

現在、労働災害としてみとめられている交通事故はこんなかんじ。

 

注釈
A:道路旅客(ハイヤー、タクシー、バス業、その他旅客)
B:道路貨物輸送(一般貨物、特定貨物、貨物軽自動車、その他交通輸送を除く)
道路上での交通事故:業種・事故型より抜き出し(交通事故(道路)+交通事故(その他))
また、統計上交通事故原因に、自己疾患や疾患別事故量が記録されていないため、その他原因として、その他起因物+起因物+分類不能から引き出した。こちらに疾患などの原因が含まれると考えられる。
(つまり、全てが疾患原因というわけではない。)

 
労働災害での交通事故は6割近くが死亡していることがわかかる。
労働災害と認められた交通事故も多く存在していることがわかる。
 
今回の事案のような疾患が原因ではないかという話は良く聞く問題である。
 
”第3回交通科学シンポジウム(2008・2・15)
国土交通省自動車交通局安全政策課資料より
運転者の疾病により事業用自動車の運転を継続することが出来なくなったもの(平成13
年から17年)を事業者からの報告により調査した結果、30%は死亡し、その病気は①脳
(31%)②心臓(27%)の病気③失神(7%)④その他によるもので、循環器系の病気がほ
とんどである”
 

という話もあるほどで、6年も前から出ている話であることがわかる。

保健上の問題としても、労働災害を減らすことの重要性は、当事者の生涯収入、家族経済の安定性、税収安定、国内経済の安定化を考慮するうえでも非常に重たい。
交通事故で死亡した場合、かなりの損害を起こす。さまざまな経済で影響が出るため、ニュースに取り上げられ、できるだけこのような事態を減らすということは大きな効果を上げる。
その点では誰かを攻め立てるだけでなくこのような現状があるということを理解できるような内容の情報を提供していただきたいものである。

さて、疾患疾患といっているが、交通事故時に起こる(大きな関連がある)と考えられる病気について少し解説をする。

・SAS(睡眠時無呼吸症候群)
寝るときに舌沈下、気道閉塞などがおこり、呼吸が一時的に停止あるいは呼吸情態が悪い状態が続くこと。長時間の集中力が失われやすく、突然の深い眠り、心疾患や脳血管疾患につながることもある。
・虚血性心疾患
心臓の動きが悪くなる疾患で、狭心症やその重篤な症状の心筋梗塞がここに含まれる。急性症状では心臓の動きが一気に悪くなり、強い痛みを伴う。
・心房細動、心室細動
これは疾患ではなく状態のことであるが、原因不明の場合、そのまま病名となることもある。心房や心室が心臓の通常の動きと異なる動きを起こすことで、心臓の本来のポンプ機能が失われる。
・大動脈乖離
大動脈とよばれる心臓から出てすぐにある動脈の壁(多重構造になっている)に血流が入り込み、全体の血圧が下がり、その影響で失神がおこる。拍動とともに広がり、失血死することもある。心臓の壁までもぐると、心臓の動きが阻害されてそのまま死亡してしまう。
・脳血管疾患
脳の血管が破れたり血流がわるくなったり、血栓が詰まったりして起こる。
脳梗塞・脳出血などがここに含まれる。強い痛み、痛みを感じないまま失神することがある。意識がある場合でも言葉が出せない、体の動きが抑制される、体の動きが制御できないなどが突然起こることもある
・深部静脈血栓症
・肺塞栓
この二つは原因と結果のどちらを述べるかで違う。深部静脈血栓症はいわゆるエコノミー症候群で、肺塞栓はエコノミー症候群の最終点である。同じ体勢で居る事で、足や殿部で細かい血栓がおこり、肺で詰まることで、酸素の交換が行いづらくなり、最終的に意識を失うことになる。

自動車を運転する場合はこれらの疾患が起こることが確認されている。エコノミー症候群は、高速道路での巡航を行う場合のみ、ほぼ同じ体勢になることから起こる可能性が考えられる。
最も潜在的に危険であるのはSASで、これは基礎疾患だけでなく、体型や、気道状態、寝るときの体勢などさまざまな要因がかんがえらえるため、基礎疾患によるスクリーニングだけではSASを見つけることは不可能で、眠りが浅い、寝たあとにのどが痛いなどの自覚症状を訴えてもらわないと防ぐことはむずかしい状況である。
ここにあげられている疾患はいわゆるメタボリックシンドロームの延長、生活習慣病の延長にある。特にその中でも高血圧症と動脈硬化は深刻に影響をしていることが考えられる。
動脈硬化や高血圧症がなくても、長時間の運転をしていることで、血栓などを生むリスクがあるのである。長時間の運転ではコーヒーなどのカフェインを取ることが多いが、カフェインによる交感神経の活性化は、尿量を増加させ、心拍増加を促す。つまり一時的に血圧があることを示し、尿量が増えることで血中の水分をうしないやすい状況となる。
ここで注意してほしいのは、カフェインが悪いわけではない。水分補給をすればさらに血圧が上がるだけであるので、適度である必要がある。ここでいいたいのは「長時間の運転をすることそのものがリスク」ということである。
かといって、長時間運転をしなければ運べないもの・人が多い。長時間運転をしなければ困ることのほうが多い。そのリスクを背負っていただいているというのはそれだけの利益を生むためのリスクでありすべての労働におけるリスクと比較しても、背負うリスクとしては重いわけではない。
(もちろん、働く量は自己責任による判定にすがるしかないが)

少し全体的な労働という話まで話が拡大したので話を戻す。

今回の事故ではSASが疑われている。
しかし、SASでは、居眠り運転として記録されてしまうため、事故記録には残らない。ほかの原因もいくつも思い浮かぶのに、どうしてSASであると考えられるのだろうか。
まず、理由のひとつに、年齢が若い。生活習慣病による急性症状が起こる年齢はだいたい40歳代である。心疾患では基本的に1秒近くの猶予があり、ほとんどの心疾患の事例ではブレーキが踏まれる。ただし、失神してしまった場合はブレーキを踏む猶予がない。(特に若い場合は失神することは少ないため)
失神している場合はラッキーなときはブレーキを踏む。最悪はアクセルを踏む。バスや大型トラックなどはデッドマンシステムとして、(巡航中はオートアクセルとなるので、無理だが)踏み込みの圧が抜けるとある程度ブレーキがかかるシステムを導入している(新しい型のみ)
今回の事案では、トラックにぶつかったということだが、ガードレールにぶつかるような蛇行運転があったことを考えると、意識はなかったのだろう。呼びかけに対しての反応がないということは、深い眠りまたは失神、その時点で心停止のいずれかが考えられる。



事故の当該車は、運転手交代を呉羽PAの次の小矢部川SAでおこなおうとしていたということ(記事より)を考えると、休憩中に席を立ったことで、深部静脈にあった血栓が動いて、肺塞栓を起こしたのではないかということも十分に考えられるが、肺塞栓の場合は非常に失神するに至るまでに非常行動を十分に行えることが考えられる。休憩直後に起こった事故ということもあり、関連性は疑ってもよいとおもわれる。
 


裁判となった場合はその辺も絡めた争点があるのだろうと考えられる。

事業者は同様の事故も合わせて、今後個人の健康を業務改善内容に盛り込むことがかんが得られるが、不健康である人を切り捨てるというのではなく、うまく折り合いをつけられるように考慮するだけでも、十分に事故を防ぐことができることを考える必要がある。




最後に、今回亡くなられた方々にご冥福をお祈りすると共に、事故にあわれてしまった方に最良の治療と継続的な支援があることを望みます。







参考にしたニュースサイト

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140304/k10015698101000.html
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140304/k10015709521000.html
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140304/k10015700261000.html
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140303/k10015683491000.html
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140304/dst14030411200011-n1.htm
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201403/20140304_13019.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140303-OYT1T01306.htm
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140304-OYT1T00757.htm?from=popin

労働災害統計
http://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/tok/anst00.htm

e-ヘルスネット
http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-06-001.html

参考資料
http://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/anzen/3jikoboshi/3jikoboshi_4.pdf

バス時刻表
http://www.miyakou.co.jp/cms/uploadfiles/output/50187e55-9788-4ed0-8051-07e8c0a8020e/

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